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母の帰省

2016.08.18 (Thu)

その駅の改札口の横には
薄紫の朝顔が
壁を覆い隠すように咲いていた

駅を出ると細いいっぽん道
白い白いガタゴト道
車が通ると砂埃が舞った


母は日傘を広げて左手に持ち
右手は幼い妹の手をひいた

妹の小さな右手と私の左手
大きく揺らしながら歩いたのは
この日が大好きだったから


つば広の帽子のリボンの横の花のコサージュ
妹の袖の小さなレース
私のお気に入りのひまわりのワンピースは
裾が風にあおられフワフワした


茶色のお揃いのサンダル
足首で折り返した靴下のフリルと小花の刺繍
いつも履かない靴下は
サンダルの上をすべり変な音をたてた

こんなよそゆきの身なりは
母の「いい子でね」のメッセージだと
幼いながらも知っていた





母のお盆の帰省は青い空とセミの声
緑の垣根
透き通った小川の水草が
川底の小石を見え隠れする

小川で立ち止まり見入ったのは
この小川が大好きだったから




玄関の引き戸を開けるとたくさんの靴
いろんな顔が出迎えた




縁側で食べたスイカ
いとこにもらったおはじき
壊れかけてた古いブランコ

水遊びですぐに裸足になり
私も妹も「いい子」の身なりを脱ぎ捨てた


夕立さえもお祭りのように感じた




暗闇と同時にやってくる静けさ

花火の光に照らされては消える笑顔と
花火の音と同時にあがる歓声と

最後の線香花火はぽとりと落ちた



たくさん並んだ枕
寝転がって縁側を見ると
蛍が数匹眠そうな光を放っていた

明日が楽しみだったあの数日





私の幼い日の母の帰省
母は何を感じていたのだろう

きっと私と同じ・・・

だったらいいなぁ


19:48  |  ポエム

初恋

2013.11.18 (Mon)

放課後の教室は 穏やかな顔をしている

日中の騒がしさを 静かに床が吸収して

落ち着いた 面持ち





差し込む夕陽が帯となって 

窓側の席から廊下まで オレンジ色に染めていく






私は 待っていた

夕陽が少しずつ 角度を変えていくのを眺めながら

教室の扉が勢いよく 開けられる瞬間を






わたしは 待っていない

友達から借りた本を読んだり

陸上部が校庭を グルグル回っているのを数えたりして







鞄がここにあるのだから きっとあの扉は開けられる

必ず来る人を待つのは なんて幸せな事だろう








扉が開くと・・・

私は偶然を装って たった今教室に入って来たみたいに

慌ただしく帰る準備を 始める 





一緒に帰ろうなんて 言えない








日が短かくなるこの季節は 

並んで歩いても 暗闇が恥ずかしさを隠してくれる




街頭も少ない 田舎道

信号も意味を持たない 田舎道






駅までの道は とても短い

話は いつも途中で終わってしまう

聞き返す必要もないほどの 世間話









何人もの学生が集まっている駅は 

光がそこに集中して とても華やかだ






学生の笑い声が聞こえる距離に近づくと

どちらからともなく 離れていく







面倒なことは お互い嫌い

似た者同士 だった












今日は購買部のカレーパンが お昼前に売り切れたんだって

そんな些細な事が 一大事だった

あの頃







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*いつもご訪問ありがとうございます☆
 ご訪問できなくて申し訳ありません!




22:37  |  ポエム  |  Trackback(0)  |  Comment(10)

今日は日曜

2013.06.23 (Sun)

朝早く 目が覚めた

開けていた窓からは 冷たい風

「さむっ!」と布団をかぶりなおす 



「もう少し寝ようかな」

「起きようかな」



チュンチュンと すずめの声が賑やか

久しぶりに聞いた 鳥の声





まだまだ寝る!

と、目を閉じると ここは緑に覆われた森のなか

鳥のさえずり 爽やかな風






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爽やかな風

寒い!



部屋中駆け巡る 梅雨の湿った風

頭から 布団にもぐりこんでも 

容赦ない





あの窓、誰か閉めて!

布団から出たくない







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「念じたら閉まる 自動の窓があったらいいな」

「念じたら ホカホカになる布団があったらいいな」




そんな事 思いながら

また 夢の中






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* いつもご訪問本当にありがとうございます☆
  なかなかご訪問できなくて申し訳ありません!!!


10:40  |  ポエム  |  Trackback(0)  |  Comment(10)

早春の朝

2013.03.13 (Wed)

静かな眠りについている台所

カチっと言う音とともに 灯りをつける





暗闇が一瞬にして 過去のものとなり

煌々と輝く 今日が始まる





テーブルの上に 氷の解けたグラスがひとつ

過去からの おみやげ





そっと持ち上げ傾けると 乾ききったシンクの上を

水が円を描きながら 流れていく





ポコ ポコ ポコ

ポットのお湯が沸く音

静かな台所に 染みわたる 





乾いた空気が 潤ってくる

冷たく静止した空間が 動き出す




カーテンを 開けて外を見ると

まどろんでいる街並み

春の色が見え隠れする 空

光を反射して 輝いているビル




太陽が そろりそろりと

上がっていく














冬の朝は 静かだ

すべてが息をひそめて 待ちわびている

人々の 鼓動を 






陽の光が眩しいのは まだ目覚めていない証拠 

光のなかに 春をみつけよう













さあ 一日が始まる

前を向いて 行こう




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朝を迎えられる事、まわりの景色が昨日と同じ事
春を心待ちに出来る事、感謝です。




09:45  |  ポエム  |  Trackback(0)  |  Comment(16)

母の手のひら

2013.02.04 (Mon)

寝転がって 布団の中から 

手のひらを 天井にかざしてみた




「私の手 あの頃の母の手に似てきたなぁ」





子どもの頃 大好きだった母の手

ぷくんとして 小さい




苦労話を いっぱい聞かされたけど

そんな事 みじんも感じさせない母の手



苦労は 手のひらで 握りつぶしてきたのだろうか







いつも 誰かのために動く 母の手



料理をしたり 洗濯物をたたんだり 雑巾がけをしたり

家事をする 母の手






母の手は 魔法の手

私の望むものを なんだって作ってくれる












時は いつも 残酷でやさしい

永遠は どんなに望んでも 幻だ







今の母の 手のひらを思う

「最近 思うように動かんようになってな」

ゆっくりと お茶をいれる母の手






最近 手をつないだのは いつだっただろう










私の手 母の手に似ているけど 違う

いつも 楽ばかりしようとしてる手

苦労知らずの 手

世間知らずの 手






私の手のひらは 何を掴もうとしてる?






寝転んで 手のひらを見ながら思う




動かそう

とにかく 動かそう







そして 今度実家に帰った時

両親と 手をつなごう





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11:00  |  ポエム  |  Trackback(0)  |  Comment(28)
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